5S【整理・整頓・清掃・清潔・躾】の重要性

巷はでは、掃除の効用をうたった著書が数多く出回っている。

古くから、製造業の世界では3S【整理・整頓・清掃】がうるさく言われた。

私は国立工専の機械工学科を卒業して、ある建設機械大手企業へ新卒で入社した。3Sに絡んで、当時の思い出を書いてみたいと思う。

当時は新卒は30名程度で、3ヶ月程度の研修が終了すると数箇所の工場へ配置された。配属から半年間は、工場のすべての工程を課単位で2週間程度づつ巡回配属され、その課の課題や解決策をレポートにして工場長に提出するのが仕事だった。

その後、正式に工場長直属の生産技術課に配属となった。

生産技術課・・?

生産技術というのは工場のお医者さんみたいなもので、本部の設計部から送られてくる化工図面を見て、NC工作機械のプログラムを組み、製造現場へそのテープを渡したり(当時はさん孔テープ)、加工するための部材を工作機械に載せる台や周辺の装置を自分で設計し組立てたり、工場の設備の修理まで担当した。

この工程では、自分で鉄板をカットしたり、溶接したり、各種センサーをつけて油圧や空圧を利用した半自動化をしなくてはならない。とても面白い仕事であった。

こうしてある程度、仕事を分担することができるようになった時、ある工程をまかされることになった。冶具の作成からNC工作機械の加工プログラムの作成まで一貫した工程である。

私の工場内お客様は、化工課の職長である。職長というのは叩き上げの怖いおじさんというイメージで、20才そこそこの若造には、まさに神様に見えた。いつもハンマーや溶接器具を持ち歩き、現場で何か発生すると直ぐ飛んで行き指示を出し、治めることが出来る人だった。

私は直属の上司でない、この職長に徹底して鍛えられた。

まず、技術者としてプライドを捨てることから教わった。ある時、自分のプログラムミスで化工品をむちゃくちゃに切削してしまい、使いものにならない状態にした。

職長に呼び出され、「お前が何とかしろ!」と言われた。

私はどうして良いかまったくわからなかったが、「兎に角、元の状態に戻せ」との指示、私は「わかりました。溶接して元に戻します」と回答、職長は「明日の朝までに元に戻せ!」と・・・。

私は、それから徹夜で鉄の塊と格闘し、溶接棒を山のように消費し、翌朝までに何とか格好をつけることが出来た。

これが第一回目の始まりで、それからは切削くずの始末の仕方や切削油の処理など、整理・整頓・清掃をハンマーで徹底的に教えられた。終了時間になったら自分の周りにはゴミくず一つ落ちていない状態が当たり前、金属の加工台はピカピカ、利用した工具はすべて洗浄して元の位置に戻す。そして翌朝は、また新鮮な状態で仕事に入る。このような工場生活を日々継続して3Sは体に染み付いた。この状態が「工場では当たり前の状態」である。

現在、I&Dでも早朝清掃は輪番で実施するシステムにしている。もちろん、私も毎週日曜日に30分かけて掃除器当番をしている。年間52回の掃除当番で社員の3倍の担当である。掃除は自分の至らぬことを、掃き清める修業でもある。

さて掃除の効用であるが、大きくわけて3つの効用があると思う。

1.一緒に当番になった相手の気持ちになって考えられる素養があるか?

2.自分自身の整理・整頓・清掃も含めて、継続して実行できるか?

3.自分の頭の整理・整頓・清掃まで気持ちが行く届くか?

これらに加え、清潔感があるか?部下に躾が出来るか?の5Sが出来るようになって初めて管理職に値するのではないだろうか?

自省しながらの毎日である。

2008年4月23日(水) 福重

 

福重 広文
福重 広文

起業家支援財団評議員, 起業家支援財団学生奨学金審査委員